「私にとって偉大なる指導者」代表のワトソン容疑者を礼賛する被告 SS元船長第3回公判(産経新聞)

【法廷ライブ SS元船長第3回公判】(9)完

 《環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」抗議船「アディ・ギル号」の元船長、ピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)に対して、傍聴席から見て左側に座る男性裁判官が質問を続けていく。裁判官はベスーン被告が調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に向けて酪酸(らくさん)入りの瓶を5発程度撃った際、1発しか命中しなかったとする証言について尋ねた》

 裁判官「1発目はなぜ当たらなかったのですか」

 被告「ボトル(瓶)の大きさが小さく、空気が漏れてしまいました」

 《ランチャーの発射構造などに関する技術的なやり取りが続いた後、多和田隆史裁判長が質問を始める》

 裁判長「視力は良いですか」

 被告「かなり良いです」

 裁判長「ゴムボートで第2昭南丸に近づいたとき、乗組員の姿は良く見えましたか」

 被告「はっきり見えました」

 裁判長「(酪酸入りの瓶を)ブリッジにめがけて撃った理由は?」

 被告「(ブリッジと離れた)船尾の方にきちんと防護服を着ていない人がいました。ブリッジの方は誰にも被害が及ばないと思いました」

 裁判長「(圧縮空気で水を発射する)インパルス銃を見たのはこの日が初めてですか」

 被告「違います」

 裁判長「発射されるのを見たのは初めてですか」

 被告「そうです」

 裁判長「あなたに水しぶきはかかりましたか」

 被告「いいえ。インパルス銃から発射された水は彼ら(発射した第2昭南丸の乗組員)に戻り、彼ら自身がぬれていました」

 裁判長「なら、あなたには(インパルス銃から発射された液体に)化学成分が入っているか分からないのではないですか」

 《ベスーン被告はインパルス銃の中の液体に化学物質が入っていて、その化学物質が乗組員のやけどなどを引き起こした可能性を主張している。裁判長はベスーン被告の主張に疑問を投げかける》

 被告「彼らの何人かにインパルス銃の液体がかかり、彼らが(船の)船首の方向に走っていきました。外部からの侵入を防ぐため、水だけを撃つ行為は無駄に近いです。しかし化学物質が入っていれば、有効です」

 裁判長「酪酸の影響で(乗組員たちは)走ったのではないですか」

 被告「違います。彼らはインパルス銃を撃った1、2秒後に負傷しています。彼らは酪酸が原因だと思ったかもしれませんが、私はインパルス銃に入っていた化学物質が原因だと思っています」

 《「化学物質が入っていた」とする主張に関して具体的な根拠を示さないまま、ベスーン被告は持論を展開した。裁判長の尋問が終わると、女性弁護士が手を挙げて再尋問を始める。弁護人は法廷内の大型スクリーンに第2昭南丸の見取り図を示しながら尋ねた》

 弁護人「けが人が出ることを無視してランチャーを撃つとしたら、どこが狙いやすいですか」

 《ベスーン被告はブリッジの中央よりも船尾に近い壁を指し示した。事件当時、実際には中央よりも船首よりの部分を狙ったとされる》

 弁護人「実際にはそこを狙わずに、船首の方を狙いましたね?」

 被告「はい」

 弁護人「なぜですか」

 被告「(船尾よりの壁の近くに)人がいたからです」

 《弁護側の再尋問が終わり、検察側の再尋問が始まる。男性検察官は、東京海上保安部が傷害などの容疑で逮捕状を取っているSS代表のポール・ワトソン容疑者(59)の関与について質問していく。ベスーン被告は法廷で、ワトソン容疑者に関する供述を拒むなどしている》

 検察官「SSでは捕鯨船への攻撃はメンバーの会議で決まるのか、それともポール・ワトソン(容疑者)が決めてメンバーに伝えるのか」

 被告「通常は高い地位の人が集まって会議で決めます」

 検察官「ポール・ワトソンは必ず会議に参加しますか」

 被告「多くの場合、彼は参加しません」

 検察官「取り調べでの説明と、ここでの説明が違っていると思いませんか」

 《検察側のベスーン被告の供述調書によると、ワトソン容疑者は昨年6月に開かれた会議で、ベスーン被告にランチャーの用意を指示したとされる》

 被告「そうではありません」

 検察官「今回の裁判でポール・ワトソンに関する供述について信用性を争うことを決めたのは、あなたですか、それともほかの誰かですか」

 《検察官は語気を強めてベスーン被告に問いただした》

 被告「私です」

 検察官「それはなぜ?」

 被告「自分で責任を取るためです」

 検察官「取り調べでは最初、ポール・ワトソンの名前を出していたのに、途中から『名前を出すことは嫌だ』と言い出しましたね?」

 被告「はい」

 検察官「ポール・ワトソンの名前を調書に書くことを拒否しましたね?」

 被告「拒否する権利が私にはあります」

 検察官「なぜ途中から拒否することを決めたのですか」

 被告「ノーコメント」

 《勢いに乗る検察側に比べて、ベスーン被告の声は弱々しい》

 検察官「SSの上から指示があったんじゃないですか」

 被告「違います」

 検察官「ポール・ワトソンがこの裁判に対してどのように話しているかについて、取り調べ段階で分かっていましたか」

 《ワトソン容疑者はメディアを通じて、ベスーン被告に「徹底した法廷闘争」を求める発言を繰り返していた》

 被告「ノーコメント」

 《そして、検察官は最後の質問を投げかける》

 検察官「あなたにとってポール・ワトソンの印象は?」

 被告「私にとって、偉大なる指導者です」

 検察官「終わります」

 《ベスーン被告は小さい声ながら、はっきりとした口調でワトソン容疑者を礼賛した》

 《この後、男性裁判官がランチャー発射時の状況について再尋問を行い、午後3時43分、被告人質問が終了した。次回は10日午後1時半から、検察側の論告求刑と、弁護側の最終弁論、被告の最終意見陳述が行われ結審する予定だ。ベスーン被告はこうしたスケジュールに関する通訳の言葉に数回、頷いた》

 =(完)

【関連記事】
[特集:第2回公判]「燃えるような激しい痛み」失明の恐怖
[特集:第1回公判]発射「ヒャッホー」とガッツポーズ
SS元船長公判 被告人質問で「酪酸問題ないと思っていた」 「ファシスト」叫ぶ傍聴人排除も
SS元船長 第3回公判 傷害罪の成否は? きょう被告人質問
SS代表「結論は分かっている。公正な裁判ではない」 

戻ってきた、二番底の恐怖(Business Media 誠)
<放送法改正案>衆院で可決(毎日新聞)
家畜空白地帯って?増え続ける子豚どうする(読売新聞)
学校の弓・矢160点窃盗、大学生ら6人書類送検 兵庫・三田(産経新聞)
元税理士の男を不起訴=元妻の娘との婚姻届提出―神戸地検支部(時事通信)
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 1

ミミガー

お小遣いくれるって言うから、肉バイブやってきた!!
http://buta-infr.net/art/juqqv4u
by ミミガー (2010-06-05 23:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。